2014年06月

ヘタッピ故のマンガ研究所

最近、絵描きさんをフォローして作品を見ているのだが、なるほどどうして皆さん上手い。

オレのような絵が嫌いな自称絵描きとは天と地ほどの差がある。

私は絵では物事を語れないので、少々文にしてたまにはホムペの内容的な記事を書いてみる。

はてさて

私は絵が驚くほど下手である。10年以上マンガ描いているが、多分世界中の小学校にいる高学年のちょっと絵の下手な子に気を使われる絵しか描けない。

だから上手い絵の描き方は全く持ってわからない。だけど、マンガ絵については長年描いてきた経験上少々わかることもある。それを今日は描いてみる。

ちなみに、オレのマンガ絵に対する考察なので、基準はトキワ荘である。

まず、マンガ絵にとって大切な事とは「簡単に素早く描けるが、それっぽく見える」だ。

早い話が、手塚治虫や藤子不二雄の作風が基本で、それを限界まで昇華させたのが鳥山明である。緻密な背景なんて必要ないし、デッサンもパースもすべて邪魔なものでしかない。

マンガは1枚が数万円で売れる絵とは違い、量を描かないとお話にならない。だから1コマのクオリティーを高めても無駄。とにかく量を早く描くことが大切だ。

そのために必要な事は、圧倒的な想像力と空間把握能力だ。画力なんてマンガには1ミクロンもいりません。

マンガを描く作業は、シンセサイザーを使った音楽作りに似ている。あれだって演奏力は1ミクロンもいらない。極端言えばその際に必要な演奏力は右手の人射し指一本で鍵盤を叩くだけなんだから。

マンガは紙とペンで何もない状態から作り上げる。まずする事はなにか・・・想像する事だ。想像力だ。

例えば、冒頭1コマ目、ありきたりすぎるが主人公が自分の部屋のベッドから起きるコマを想像したとしよう。

次にする事は、その1コマ目を描くのだが・・・はたしてアナタはそのコマを描けるだろうか?

ここで必要な事も想像力だ。部屋と人間とベッドを想像できれば描けるはず。もし、それが出来ないなら、部屋とベッドと人間を見て書けばいい。しかし、そう都合よく想像通りのモデルなんてあるわけない。何より、それを探す時間が惜しい。そのため、部屋、人間、ベッドを自分で組み合わせなければいけない。それに必要になってくるのが空間把握能力だ。

2コマ目、服を着替えるコマを描くとする。

同様にその際に必要な動作を想像できれば、描けるはず。もし想像できなければ、見て空間把握能力を使ってく見た物をたればいい。

早い話が、想像さえできれば全て完結する。もし想像できなければ空間把握能力を使って組み立てればいい。それだけで、マンガは完成するのだ。

パースやデッサンが必要になってくるのは、この二つが出来ない人間の逃げである。想像力も把握力もないから理論で何とかするしかない。悪いことではないが、良いことでもない。

「作画が・・・」とか「デッサンが・・・」とか「パースが・・・」とかよく聞くが、昨今のアニメでもマンガでも何でもいいからキャラの顔をみろ。あれのどこにデッサンがある。どこにパースがある。

アレらはキャラクターは想像できるからデッサンもパースもすっ飛ばしたが、背景がわからないからトレースした結果である。

もっとも、背景まで全部想像で描くとそれは超次元になって理解しずらいため、あえて理論を持ちこんでいる例も多数存在しているので一概には言えないけど。

ま、ともかくだ。とにかく想像さえできればマンガが描ける。想像できなくても空間把握能力を使ってパズルを組み立てたらマンガは描ける。

その二つを養う方法は、ひたすらの模写だと思う。

もう何でもいい。何でもいいからひたすらに現実世界に存在する物を見て描き続けるのだ。

例えば、自分の使っているペンでいい。そのペンをひたすら描き続けて、観なくてもどの角度からでも描けるようになれば、次の物を描き続ける。

想像力は妄想力とは違う。ありもしない物をぼんやりと思い浮かべる妄想ではなく、実際に存在する物を正確に想像しなければいけない。そのためには、考えるだけではダメ。描いて、食べて、分解して、使ってみる必要がある。岸部露伴が行っていた事に間違いはない。人はそうまでしないと絶対に想像できない。

簡単な話、男が生理の痛みを想像できないように、女は金玉を蹴られる痛みを想像できないのだから。

同様にして、多数の物を並べて描く練習もしよう。

色んな形や奥行きに並べて描く事によって、空間把握能力を鍛える。50センチ後ろに物を置いた時の前の者との大きさの比率とかを理解しよう。

これらをひたすら繰り返せば、デッサンもパースも知らなくてもそれっぽい物はおのずと出来上がるようになる。多分・・・。マンガにはっきりとしたデッサンもパースも要らない。マンガに必要なのは前の物と、後ろの物、上の物と、下の物の区別。質感なんて、トーンとベタで最悪ごまかせるから。

この方法を幼い時からずっと繰り返していれば、いつか立派なマンガ描きになれる。

オレは絵を描くのが大嫌いなので、この方法をやっていない。これをやっておけばよかったと本当に後悔している。オレは想像よりも妄想が好きだったから、幼い頃からずっと妄想だけで生きてきた。

そしてある日、妄想を現実にしてみようと思いマンガを描きだすのだが、オレの妄想はボケボケで何一つ定まっていなかった。それを形に落とすのに四苦八苦し、その体験からこの方法を思いついたわけだ。ボケボケの妄想ではなくしっかりとした想像こそが創造なんだ。

はてさて

偉そうに書いたが、何よりマンガを上手くなる方法はマンガが好きな事。

そして、好きな事とは人に興味を持たれる事だ。

慣れ合いを拒む気持ちは重々わかるが、孤立無援の戦いは死にたくなる。そして、予想よりも遙かに限界がすぐやってくる。どちらか悩める人間がいたら間違いなく慣れ合いをオレはお勧めする。
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